授業に洋楽を! English Songs in TEFL Class

■授業に洋楽を取り入れる・2 英語で歌う曲として

 平成6年に教育センターでの長期研修のチャンスが訪れ、貯めておいた洋楽をもっと増やして岩手県内の先生方に使えるものを作ってやろうと目論んだのですが、「その研究内容で英語の力がつくのか?」という鋭い疑問に答えることができず、泣く泣くあきらめました。

 チャンスは平成17年に訪れました。山形中学校に勤務した2年目に「英語大好きジュニアハイスクール」校に指定されたのです。「英語の学力を高める」という縛りはありましたが、「英語を大好きにする」という第一目標を盾にとって本格的に取り組みを始めました。しかも今度は「ただ聞き取り問題として」ではなく、「生徒が歌うために」取り入れたのでした。始めは「(あんなに恥ずかしがる)中学生が、英語の歌なんか歌うものか」という思いこみがあったのですが、「授業で使える英語の歌20」(開隆堂)、「英語の歌88選」(三友社出版)という書籍から、「やればできる!」というありがたいアドバイスも得て、合唱がとても好きな生徒たちとともにスタートしました。

 歌わせてみて驚きました。中学生って歌うんです。もともと元気な1年生はともかく、3年生でもりっぱに歌い上げます。ただ、曲によっては抵抗があるらしく、取り組みを始めたばかりの頃は大きな声が出なくて「やっぱりだめか」とあきらめかけたこともありました。ところがある時、3年生の生徒から「先生、立って歌う方が歌いやすいよ」とか「立っていても男子の隣だとまちがったときに恥ずかしくて大きな声を出せないから、自由に移動させて欲しいです」とかいうアドバイスをもらい、その通りやってみたらビンゴ! 山形中の3年生は、まるで合唱練習のときみたいに教室に大きな輪になって並び、ガンガン歌いまくりました。つくづく、生徒にはいろいろ教えてもらって頭が下がるばかりです。

 曲は前述の参考文献のアドバイスに従い、「今月の歌」として1ヶ月に1曲ずつ歌わせていきます。選曲は教師の側で行いますが、生徒にも「歌いたい、いい曲があったら持っておいでよ」と呼びかけています。先生方にも呼びかけてみたところ、3年生担任の先生からBackstreet Boysの"I Want It That Way"というすてきな曲を推薦していただき、3年生はとても気持ちよさそうに歌っていました。

 「今月の歌」のほかに、せっかく歌わせるなら新出文型を定着させるための手段としても活用できると考え、歌詞をじっくり眺めて文法項目別に分類し、それを授業でも活用しています。もちろん、パタンプラクティスや会話による情報交換練習に比べれば定着の効果は低いかもしれませんが、なんと言っても強みは「ネイティブスピーカーである、プロの作詞家が作った本物の英語歌詞」であることです。'Causeとかain'tなどという口語でしか使わないような歌詞も出てきますが、単なる練習のための英文ではなく、人間としての感情が込められたすばらしい詩にふれさせるのには最高の教材だと思っています。


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