10月18日(水) セーフティハーバー中学校

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 三日目の午後は、いよいよ中学校を訪問しました。日本の中学校教師として海外の学校を見るのは初めてだったので、非常にわくわくしながらの訪問でした。校舎の外にある「ようこそいらっしゃいました」の表示を始め、みんなとても暖かく迎えてくれました。


学校の概要(メモから)

 創立は1962年、6年生〜8年生(中2)までの約1,400人の生徒が通う学校です。ハンディキャップを抱えた生徒や、英語以外の言語を母国語とする生徒(この学校では、現在28カ国の外国人生徒が在籍しているらしい)のための特別プログラム、ドロップアウト(怠学)防止プログラムなど、多様な対応手段はこれまで訪問した学校と同じです。

 生徒の責任感の育成を重点とし、生徒が考え、問題解決しながら学ぶため、ネットワークで接続されたコンピュータや最新ビデオ機材・スタジオなどを設置し、選択授業や委員会活動、さらには各種コンテストに応募して大きな成果を上げているそうです。

 必修教科は社会、数学、理科、リーディング(読解)、language arts(文芸?)、保健、体育があり、選択科目としては家庭経済、スペイン語、バンド、コーラス、理科、工学、職業学習、コンピュータ、business education(事務?)があります。授業は一日6時間、スクールバスが到着し終わる9:20から20分経過した9:40〜16:00までです。

 Gifted(特別な才能のある生徒)のプログラムには、高等数学、理工学、言語史、職業、考古学、建築学、フロリダ学などがあります。

 この学校も、校舎は平屋建てでした。普通教室が71、特別教室が15あるそうです。

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 「いよいよ中学校だ!」というワクワクした気持ちでこの学校に向かいました。途中、バスが道に迷ってパトカーの警官に道を尋ねていたので、すかさず写真を撮らせてもらいました(無断ですが...)。この中学校は、住宅地の真ん中にありました。


 校舎に入るとすぐ、会議室のような部屋に通されました。その壁には、下の写真のような歓迎のことばが、絵と共に書かれていました。ちょっとした歓迎会のようなものを開いている間、テレビカメラを持った放送委員の生徒が、立派なテレビカメラで私たちを撮影していました。翌日の校内放送で私たちの学校訪問の様子が放送されるとのことでした。また、執行部所属のある男の子が、自分でデザインしたTシャツを私たちに紹介してくれました。訪問日の日付入りで、日米の国旗がデザインされたすばらしいものでした。帰りにこれらのTシャツが私たち全員にプレゼントされました。あいさつの中で、校長先生が「うちの学校のスタッフは、みんな優秀です」と職員を誉め、誉められた先生方もうなづきながらにこにこしていたのが印象的でした。


 さっそく、別の執行部員の生徒(上の写真でテレビカメラの右側にいる男の子)を含めた3人の生徒が、校舎内をぐるりと案内してくれました。廊下は広く、ゆったりしていました。これぐらいの広さがないと、5〜6分の時間で生徒全員が教室移動できないのでしょう。また、多数の個人ロッカーもズラッと並んでいました。図書館はオープンスペースとなっていました。区切りがない分だけ余計に広く感じ、蔵書の検索もコンピュータでできるのだそうです。


 あちこちの授業を回ってみました。それぞれが何の授業だったかは忘れてしまいました(案内の生徒の英語が早くて、訳すのに精一杯)が、生徒のやることや話すようすを見ていると、雰囲気としてはやっぱり日本の中学校と同じ年齢層だな、と思いました。


 左の写真は、6年生のGiftedクラスのmission(使命)を書いたものを貼ってありました。内容は、“We will learn to communicate in foreign languages by knowing how languages developed, how English is related to other languages, and how some languages have been developed for specific purposes; so that we will increase our word power in the English language and through experiencing other languages will be able to decide if we want to study a foreign language in the future.”(私たちは言語の発達、英語とほかの言語との関係、ある目的のために発達してきた言語について知りながら、外国語でコミュニケーションできる方法を学びます。そうすることによって、母国語の単語力をつけることができ、ほかの言語を経験することによって将来、私たちが外国語を学びたくなるかどうかを決めることができる)というものです。また、ある教室内には成績の一覧が示してありました。岩手では、ほぼ1〜5の相対評価(それぞれの成績をもらえる生徒の割合が決まっていて、全員「5」ということにはならない)ですが、この学校(多分アメリカ全土)では絶対評価になっているようです。表によれば、100点ならA+、94-99点がA、85-93点がB、75-84点がC、65-74点がD、64点以下はF(不合格)ということですから、極端な話、生徒全員がA+ということもありうるわけです。これなら完全に自分の努力次第ですから、がんばりがいもありますね。


 少し大きなホールでは、何かの発表会や授業も行われるそうです。前の方の席の前には、20台以上のコンピュータが並んでいました。コンピュータ室のような、専用の置き場所がなくてこういう所に置いているのかな、と思いました。


 案内役の生徒たちは、次々と授業をやっている教室に入っては、「この掲示は○○のためにある」とか「ここではこんなことをやっている」とか説明してくれました。少しお邪魔しちゃったかな? とも思えました。OHPに映された分数のたし算の問題、縦書きとは驚きました。「中学校で分数?」と思うかもしれませんが、アメリカの学校では、単に知識を詰め込むよりも、「なぜそうなのか?」「もっといい方法はないか?」など考えながら学ぶことを重視しているようです。


 廊下の壁に、生徒会執行部が企画したハロウィンダンスパーティの案内が貼ってありました。金曜日の午後2時〜4時、会費は$2.00とのこと。また、案内の生徒は個人ロッカーのルールを教えてくれました。年度始めに$3を預けて鍵を借り、そこに勉強道具を入れておくとのことです。鍵は3つの数字に順番にダイヤルを回してはずすそうです。年度末にこの鍵を返せば、$3が返却されるそうです。自分の学級に私物(時には不要物)を置いたままにし、「なくなった」と大騒ぎするよりはよっぽど合理的ですね。


 最後の授業が終わり、生徒たちが一斉に下校の準備を始めました。あの広い廊下は大混雑です。デジカメを向けて様子を撮影していたら、数人の生徒が「撮って、撮って」とポーズをとってくれました。この行動パターン、日本の中学生とそっくりです。


 最後に、この中学校の敷地で記念写真を撮りました。驚いたことに、私たちを案内してくれた生徒たちが見送りまでしてくれました。こんなこと、日本の学校では「絶対ない!?」


 町で見かけたスクールバスです。通訳さんの話によると、50年も前のボンネットバスを使用していることもあるとのこと。アメリカでも、教育予算は苦しいのかな? ちなみに、スクールバスが止まって生徒が乗り降りしているときには、周囲の車はバスとすれ違えないそうです。子供の安全のための法律ですね。


帰り道...

 スーパーマーケットに寄りました。最初の写真にあるように、うれしいのはおいしいオレンジジュースです。フロリダ産なら、2リットルで99c(110円)で買えます。ホテルの部屋に冷蔵庫がなかったのが何とも惜しまれます。あったら5本も買っていくのに。


 途中、消防車を見つけました。そういえば、16日の朝は黄色い消防車を見かけたっけ...。


 ホテルに帰ってから、同室の吉田先生ほか2名の先生と散歩に出かけました。花屋さんの店先にハロウィンの人形が飾られていたり、オレンジ(かな? それともグレープフルーツ?)の木を見かけたりしながらぶらぶらと海岸の方へ歩いていきました。


 海岸に出ると、大きなプレジャーボート係留場があり、そのそばに「マナティを見るための基本」を記した立て札がありました。冬になると、本物のマナティを見ようと観光客が集まってくるのだそうです。


 海岸のそばにはヤシの木がいっぱい生えている公園、それを北に行くと真っ白な細かい砂が敷き詰められた浜に出ました。「これぞ南国!」という気分をしみじみと味わうことができました。


 道路に駐車していた自動車のナンバープレートを写してみました。フロリダ州は「太陽の当たる州」というニックネームがあるそうです。10月というのに、太陽は高いし、砂浜の砂は白いし、サングラスが必要です。また、コンビニを見つけました。セブンイレブンもあることはありましたが、日本のように大手のコンビニが町のあちこちに乱立、ということはないようです。でも、恐そうな店員さんで、夜にはいるのはちょっと勇気がいりました。


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